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「向こう側」

己の立ち位置から向こう側へ行くというときに、
気軽に一歩を踏み出せば到達出来ることもあれば、
その一歩を踏み出す勇気がなかなか出ないこともある。
目的地の土壌が危うい場合もあれば、
踏み出す路盤が緩くて離れられない場合もある。
他の者の一歩と己の一歩の幅が異なることは勿論、
ほんの少しの距離なのに、高低差が大きいこともある。
向こう側からこちらには来られないのに、
こちらから向こうには行ける、そんな特殊な事情。
特別な段階を踏む必然性はないのに、向こうに行きたい苦悩。
立ち居地の状況、或いは、己の進行基準の確保、
それらが直ぐ様、出来れば問題はないのだ。
課題となるのは、今現在、向こうに行くのが不可能であると、
一時的に思えた場合にしかし、
今まさに、向こうに向かわなければならないとされるときの、
最も現実的で有効な対処法、それなのである。
無能な妥協の停滞か、無闇や無謀の突撃か。

後に勝者と呼ばれるようになる者は誰もが、いつも、
無謀と知りつつも、一歩を踏み出してきたのだ。


20061014

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