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「そこにあるだけのもの」

プラスチックのパックのジュースが置かれていたのは、
神社の祭壇の手前の手すりの横の石柱だった。
奉納、と書かれたそれに似つかわしくない子供の飲み物。
それは単に小さな子が置き忘れていったものなのか、
それとも、連日の暑さを憂えた優しい子が、
神にも一服の清涼を分け与えんとでもしたのだろうかと、
僕は邪推も邪推、余計なことを考えてみる。
その本意、真意など僕にはどうでもいいのだ。
数秒後には、その置き土産物は、神社の片隅の、
可愛げのないごみ箱に捨て置かれることになる。
僕は、甘いだけの飲み物は好きではないのだ。
せいぜいが、冷たい水でも飲めれば結構なのである。
この季節に相応しい夕立でも降らせられればいいのだが、
僕にはそれほどの力も無い。残念、無念。


20060715


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