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「檻、再び」

これは何か、と問うのならば、これは――、
折檻、なのである。
出ることがかなわないというものでもない。ただ、
己の意思でこの折を脱出しようものなら、
より深い闇に捕われてしまうことが分かっている。
そう――、
私には、この檻の外には生きる場所がない。
出られるものなら出て御覧――。
そう、誰かが言っているのが、聞こえる。
私には、ここしか、ないのだ。
誰が問い質すまでもなく、そう、最初から決まっている。
それなのに――、
誰かが、そっと、囁く。
出られるものなら出て御覧――。
その言葉に、私の僅かばかりの希求心が、
つぶさにくすぐられてやまないのだ。


20061014


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