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「遠近法」

１キロ先にある、大きく聳え立つものでも、
その直ぐそばに行けば、それほどのものではない…、
ということは、あまりない。
遠くにある大きなものは、近づいてもやはり、大きいのだ。
ということは、近くにある小さなものはやはり、
遠くに離れても小さいものでしかないのだろうか、
というと、やはり違う。大きさというのは、
そういう、遠近法のみでの感覚では、実はない。
遠くにあるものは遠くにあるもの、
近くにあるものは近くにあるもの、として、
人の感覚はそれぞれ別に機能している。
だから、例えば、１００キロの先に見えていた山に登るとき、
人は、同じ場所にいるのだという感覚を、感覚のみでは、
なかなか把握し切れないものなのだ。だからこそ、
実は彼が登っている山は、本当に彼が登りたかった山の、
その隣の山だった、ということも有り得る。
対象物が遠ければ遠いほど、この精度は下がるといえよう。

20060402

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