< 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 >

「非常口」

とある大型ショッピングモールでのこと。
7階だったか、8階だったか…、広い展示場のある階層で、
その端っこの、トイレがあるスペースの真向かいに、非常口があった。
奇妙なのは、非常口の表示の下に、同じ形をした扉が6つもあったこと。
これは果たして、全てが非常口なのか、それとも…、
6つの中で、本当の非常口はひとつしかないのか…、
単に6つの扉で、ふたつの部屋が分けられているだけなのか…、
いや、それでは誰が考えてもその機構は無駄だとしか言いようがない。
疑問を解消するためには、ただ、どれでもいい、
扉をひとつ開けてみることなのだけれど、もし…、
その扉が「ハズレ」で、その向こうが落とし穴のように、
地上にまで通じる虚空となっていたらと思うと、
僕はただひたすらに恐怖に駆られ、
ショッピングモールを一刻も早く立ち去ろうと思う他はなかったのだ。

20060402


<< prev 目次 next >>

Copyright(c) Kazui Yuuki all rights reserved.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送