< 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 >

「ドミノ」

それまで積み重ねてきたものが崩れた瞬間、
人は大きな落胆を覚える。
それまでに重ねてきた苦労、努力、そういったものが、
何ら報われることなく、それ以前に、
何の姿を為すこともなく消え去ってしまう恐怖。
それまで積んできたものが、そこに、
残骸となって崩れ広がっているストレス。
しかしそこに何らかの括弧たる動機を持って、
それをしなければならないものであったとき、人は、
再び努力を費やして、その精神的な疲労を請け負う。
それが或いはドミノのように、最初から、
完成されたときには全て壊されることを、
前提付けて始められたものであったのなら、尚更、
彼はそれを成就するまでは止めるわけにはいかないのである。

20060301

<< prev　目次　next >>

Copyright(c) Kazui Yuuki all rights reserved.