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「いらっしゃいませ、青の部屋」

黒色、一色の部屋だったのだ、それまでは。
色彩の話ではない。
むしろ、それは夜の闇に等しい褐色だったと言えよう。
つまりそれは、僕たちの目に映るもの全てが、
暗黒に染まって僕たちの存在を卑下する、
そのためだけにあるような空間…、そんな、
それ以外のものを中に取り入れることを許さない世界、
それが、それまでの僕たちを取り巻く環境だったと言えよう。
これは、言葉の上だけの装飾ではない、決して。
だからこそ、たったそれだけであるのに、
風にそよぐカーテンの色が水色であるというそれだけのことに、
僕たちはどうしようもなく胸を痛めてしまっているのだ。
とてもとても、安堵している、胸の鼓動が切なくて。


20050610


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