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「酩酊」

腹が鳴るほどの空腹に、濃いアルコールを幾種類もステアして流し込む。
一瞬の酩酊が、濃い愉悦へと生まれ変わる過程。
何もかも詰まらないと信じて疑わなかった世界の変貌。
まるで己が唯一の覇者になったかのような高揚。
そして次第に失っていく理性。
感情の昂ぶりのままに抑え付けられていく自由。
始まりの一滴から終末の雫まで、まともなものは何もない。
或いは全てが想像の産物ゆえかも知れず、されど…、
元より、確かなものなど、ひとつもなかったのだ。
夜明けの首都高へ繰り出す第一歩は、当然ながら、
愛車の助手席で情けないばかりの悪態をつく機械同然で、
ステアリングを握る相方の侮蔑ばかりが、その夜の子守唄となる。


20070213


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