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「鉄塔」

地上数十メートルの高さに電線を張る鉄塔。
鉄塔自体もかなり大きいものだ。
でも、待ち行く人は、その鉄塔を邪魔に感じることはない。
それはあって当たり前のもの、というよりは、
あるのだけれど誰もそこにそれがあることに、
普段気づかずに過ごしている、そんな感じ。
大きければ大きいほどに存在を認識しない、
そういうものが、この街にはかなり沢山あるようだ。
自分たちが宇宙の塵に等しい惑星に身を置くのに、似ている。
反面、自分たちの身体を構成する、細胞の一つ一つ、
そんなものに対する認識にも、やはり似ている。

20060119

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