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「何もない」

何もない。陳腐な表現ではあるのだが、本当のこと。
そこには、最初から最後まで、何もなかった。
ただぽっかりと空いたキャンバスに、
ぽつん、と、ひとつ、存在を主張するかのように、
それ以外は、何もなかった。
恐らくは、その時点で、その空には何かがあったと言える。
しかし、同時に、何もなかったのだとも、明言出来るのだ。
最初を知らない、最後を知らない。
多分に、僕らは空を幾ら見つめ続けても、
そのふたつの点を知り得ることは出来ないだろう。
だから、ただ推測し、推論を述べるだけなのである。
僕らの観測点は、この空の、
最初から最後までを観測しきった情報に照らし合わせれば、
何もなかったと同義なのだろうと。

20051209


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