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「26」

26番のコインロッカー。
僕はその鍵を持っている。
人から譲り受けたのだ。
否、買い受けた。
幾ばくかの金銭をもってして、僕の鍵と交換した。
僕が元々持っていたのは41番のコインロッカーの鍵。
その中には、世界で僕しか所有していなかった物が、
今もひっそりと仕舞い込まれている。
26番のコインロッカー。
実はまだ、中を見ていない。
中に何があるのかは、知っている。
けれども、鍵を開けて中を見てしまうと、即座に、
その価値が失われてしまう物が、
26番のコインロッカーには入っているのだ。
だから、そのロッカーの価値は、ロッカーの鍵の価値なのだ。
だからもうしばらく、僕は鍵を開けずにいようと思う。

20051020


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