< 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 >

「一時停止」

ストップ、一時停止。
その標識と指標を、僕は二階のテラスから眺めている。
車が幾台も幾十台も流れていく。
その誰もが、誰もが、一人も、一台たりとも、
そこでは止まらない。止まろうとはしない。
絶対に、と言い切ってしまっていいくらいに、誰も、
その一転では止まろうとはしなかった。まるで、
そこで止まることが正しくないことを証明するかのように。
何が一体彼らを、彼女らを、疾走に導こうというのだろうか。
それとも、或いは。
そこで止まることは、本当は、正しくないのかもしれない。
何かからの逸脱を図ろうとしているかのように、また、
眼の前で一時停止の無視が行われている。少しだけ、
僕は虚しくなって、その標識から目を背けた。

20050901


<< prev 目次 next >>

Copyright(c) Kazui Yuuki all rights reserved.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送