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「恥ずかしがり屋の月」

夜明け前
林の中に月を見つけた
僕の視線を感じると木の裏側に隠れてしまう
そんな恥ずかしがり屋の月を見つけたんだ
カメラを構えても姿を見せやしない
僕はそっぽを向いたままレンズだけを向ける
黙ったままシャッタを切る 切る 切る 切る
林を見遣るとやっぱり月は隠れて出てこない
そのうち夜明けがやってきて
月は薄闇に解けて消えてしまった
僕がその姿をやっと認めることが出来たのは
家に帰ってぬるい液体に腕を濡らしてからのこと


20060506


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