髪の長い友人がいる。この場合は、女性の話。
「髪、切ろうかなあ」
唐突に、彼女のこんな発言から始まる。
良いんじゃない、と僕は曖昧に返事をする。
基本的に会話が下手な僕は、基本的に話しかけられたらまず、短い相槌を打つ。
「短い方が好き? 似合うと思う?」
割とね、と僕は曖昧に返事をする。
それから、短いのも良いんじゃない、と相手の言い分をそのまま肯定する。
基本的に相手の言い回しには否定的な言い分はしない僕である。
「長いときとどっちが好き? 長い方がいいならこのまま伸ばす」
短くてもいいと思うよ、と僕は先程の返事を繰り返す。
相手が言いたいことがどんなものか、注意深く観察するのは大切なことだ。
基本的に、やはり僕は自分からは掌を返すようなことはしない。
「じゃあ、やっぱり切ろうかな。もう少ししたら暖かくなるし」
そうだね、と僕は肯定する姿勢を変えない。
「ああ、でも、まだちょっと寒いものね。暖かくなるのを待ってからでもいいか」
そうだね、と僕は肯定する。大抵、相手は僕にそれを決めてもらいたいのではない。
かといって、自分の決断を後押しして欲しいわけでも、引き止めて欲しいわけでもないのだ。
「ああ、でもなあ、**くらいの長さまで伸ばしたいなあ」
予測して、予定していることを、自分で再確認しているに過ぎない。
「自分で決めらんないなあ、どうしようかなあ」
その場の相手は、独り言に対して相槌を打つ役割のようなものなのだ。
多くの会話とは、その繰り返しだ。
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