眠れない夜のために



 夜も更けた。
 睡魔に忠実に従い、僕は布団に潜り込んだ。
 けれど、いくら経っても一向に眠ることは出来ない。
 夜の闇の中で、眠いのに眠れないことに焦りすら生じてくる。
 その考え自体、本当なら馬鹿らしいことのハズなのだ。
 けれど、そんなときに限って他のことは考えられない。
 布団に横たわり、身体は既に眠りに就いているのが分かる。
 ぼんやりと、頭だけが何かを考え続けている。
 こんなとき、…自分の身体が偽物のように思えてしまう。
 いつになったら眠ることができるのだろう。
 いつになったら、この悩みから解放されるのだろう。
 そんなことを考えている限り、絶対に、眠れない。
 そう、早くこんな考えは忘れてしまうに限る。
 早く、無心になって、寝てしまおう。
 ……しかしそれでも、どうしても考えてしまう。
 何故眠れないのかを考えることが、一番眠れない理由。
 どうして眠れない、何故眠れない……。
 そんな夢を毎晩見続けながら、僕はいつまでも悩み続けている。


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