ホットミルク



 詰まらないことで落ち込んでいた僕に、彼はホットミルクを作ってくれた。
「美味しい?」
 砂糖がたっぷり入っていて、ちょっと入れ過ぎじゃないかと正直思ったけれど、訊かれて、頷いておく。
「美味しい」
 ゆっくりとカップに口を付ける僕に、突然、彼は言った。
「きみって、ホットミルクみたいな奴だったんだね」
「なんだよ、突然に」
「はじめは鬱陶しいだけの奴だったけど、段々甘さが見えてきた、ってコト」
「それ、けなされてるのか……?」
「褒めてるんだよ。僕、甘いもの好きだもん」
 彼は唇の隙間から舌を覗かせて、笑みを浮かべるのだった。


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