「二重の密室か…、難問だな」
「ですが、これさえ解ければ事態は全て解決したも同然です。気を落とさず」
「そうだな。せいぜい、ない知恵を絞るとしようか」
その事件は、正しくは事故だった。地下シェルターは、セキュリティーの故障でエンジニアの二人を中に残し封鎖された。
地下室は、政府要人のために用意された施設であり、使用される前の準備段階で、安全面での調査に訪れた彼らは、不意のマシントラブルでその場に閉じ込められることになってしまった。
無意味に広い空間には脱出に役立つようなものは期待出来ないと思われた。部屋への入り口、そして短い廊下を経た地上への出口。この二つの鉄の扉は、コンピュータによって完璧に施錠された。
内側に隔離された、逆密室という奴である。有害な磁場を通さない目的の防壁が、逆に彼らの外部との連絡経路を封鎖した。
彼らは、如何にしてそんな状況の部屋から逃れ得たのか?
先の会話は、閉じ込められたエンジニアが交わした会話であるが……、問題とは、解くよりも作る方が難しいのである。
出来るだけ早く、彼らが脱出の方法を探し当てることを祈ろう。
そうすれば、この残酷なまでに単純なミステリは即座に成立する。
あとは、チープな物語を付随させるだけだ。
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