脇役B



「貴方だけに教えよう。私には、特殊な能力がある。人の心が読めるのだ。この力を利用して、私は一般人が知る由もない世の中の裏側を様々な角度から眺めることが出来た。直接対面せずとも、モニタを通じれば政治家や評論家、逮捕直後の犯罪者の心情まで手に取るように知れたのだ。けれど、それを得意に思い、迷える者を思いのままに遣おうとか、逆に人の盲点を突き、誰にも気づかれず罪を犯すとかいう、なんとも低俗なことは考えなかった。私の力は、もっと高尚なものだ。私の能力があれば、それこそ世界を救う事だって出来るだろう。……こんなことを言っていると、私は精神病か何かを患っていて、ただの空想事を騙っているに過ぎないのだろう、と思われるに違いない。だが、それは誤解だというものだ。何故なら――」
 そこまで話し、彼は半身を振り返った。
「現に、私が今、言っていることは、実はきみの心を読み取ってそのまま話しているのだから」
 そう、貴方だけには本当のことを教えよう。私には、特殊な能力がある。人の心が読めるのだ……。


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