コピーキャットは帰らない


都内を走る首都高速道路の橋桁の溶接部に、金属疲労によるものと思われる亀裂が多数見つかった問題について、以前より首都高速道路公団が調査に乗り出していた。
 それにより、その原因の大部分は、過積載トラックの通行にあることが専門家の分析で明らかになった。
 ただでさえ乗用自動車よりも荷重の掛かるトラックの、しかも過積載のそれによる度重なる通行により、橋桁へのダメージは小さなものではなくなりつつあるらしい。これを修理しなければ五年ほどで橋桁が破断し、道路が落ちて大惨事になる恐れもあるということが判明している。
 同様の問題は、関西の高速道路でも起きていたらしく、簡単に思い出せるかつての大規模な地震による高速道路高架の崩壊劇、及び災厄は、その処置が急がれることを何より具体的に懸念してみせていた。けれど、相手は国の首都の中心を貫く首都高速道路だ。省庁の対処は、ならば明日にでも、とは流石に行かず、僅かに遅れを見せたのが正直なところで…、

 それが、不運にも、不具合にして、端的に言えば、…不味かったのだ。

 発表から僅か数週間後の、ある日。
 彼ら二人は自動車で、その都内の高速道路を走っていた。
 偶然としか言いようのない要素が絡まって、…その日、首都圏に中型の地震が起こった。

 まるで当然のことのように、惨事は発生したのだ。


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